1.242017
動物病院では、緊急で対応が必要な病気から、
ゆっくりと進行する病気まで様々です。
もちろん命を救うためには、緊急の病気はできるだけ早く対応が必要です。
そんな緊急の病気の代表『脾臓の腫瘍』の犬のお話です。
午前の診察も落ち着いた昼前、突然緊急の患者さんは来ました。
「急に元気がなくなり、ぐったりしている」という事です。
自分で歩く事ができません。
呼吸も速く、口の中の粘膜も真っ白です。
こういう時は、一番に出血がないかを探します。
体の表面の出血や、下血がなければ、お腹の中での出血をみます。
エコーで見ると、やはりお腹の中に液体がたまっています。
抜いてみると血液でした。
もう少し詳しくみると、脾臓に大きな腫瘍がありました。
脾臓の腫瘍からの出血です。
これは緊急事態です。
飼い主様に、
「脾臓の腫瘍からの出血です。出血を止めるためにすぐに手術が必要です」
とお話すると
「すぐにやってください」
と決断されました。
なかなかすぐに決められる方が少ない中、すばらしい決断です。
普段は手術に関してゆっくり説明し、よく考えてもらいます。
しかし、今回はそうは言ってられません。
この子は輸血をしながら緊急手術となりました。
出血している脾臓を、できるだけ早く摘出する必要があります。
お腹を切開。
出血を吸引する。
脾臓への血管を糸ぶ。
血管を切断する。
早くでも慎重に。
手術は無事に終わりました。
ほっとします。
摘出した脾臓は腫瘍の所が破れていました。
病理検査の結果『血管肉腫』でした。
退院後に抗がん剤が必要になりますが、
ひとまず元気に退院する事ができました。
今回は、飼い主様がすぐに手術を決断できたため、命が助かったと思います。
自分の可愛いわんちゃんです。
急に手術が必要と言われて、気が動転しない訳がありません。
その中で決断できる飼い主様に拍手です。
そんな飼い主様の決断に応えれるように、全力を尽くします。
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