動物病院のちょっとしたこと

誤解されがち?フィライア予防

動物病院の大きな仕事の1つが予防です。

病気になるのを未然に防ぐ、非常に重要な事です。

 

混合ワクチン、狂犬病、ノミダニ予防などありますが、

一番先に思い浮かぶのはフィラリア予防ではないでしょうか。

 

フィラリア症とは、心臓に寄生する虫です。

蚊が感染したわんちゃんを刺し、

また他のわんちゃんをさす事で感染する寄生虫です。

見た目はそうめんのようで、長さは20−30センチにもなります。

 

そんな長い虫ならもっと生活しやすいところがあるでしょうに、

不思議と必ず狭い心臓に寄生します。

心臓にそんな長い虫がいたら、心不全や肺の病気になっていきます。

 

 

しかしこのフィラリア予防、非常に誤解されやすい…

飼い主さんがよかれてと思った事が、裏目にでることがあります。

 

いままで受けた誤解や質問をまとめてみました。

きっと「そうだったのか!」と思う事もあるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

・フィラリア予防薬を飲めば、1ヶ月効果が続くんですか?

実は違うんです。

一番多い誤解です。

薬のネーミングが悪いのですが、フィラリア薬は予防しているのでなく、

月に1度感染したフィラリアを駆虫するお薬です。

(フィラリアは感染直後は、簡単に駆虫できます。大きくなると予防薬では駆虫できません)

ですので、蚊が出終って1ヶ月後に最後のお薬を飲む事が大切です。

 

しっていると冬のフィラリア薬も納得です。

 

・先生、4月初めに蚊を見たけど予防もう始めた方がいいかしら?

4月末もしくは5月頭のスタートで十分です。

フィラリアのお薬は予防しているのではなく、感染した虫をやっつけます。

例え刺されも1ヶ月くらい以内であれば問題なく駆虫できます。

 

・フィラリアになんて予防しなくても感染しない?

運が良ければ感染しません。

逆にいえば運が悪ければかかります。

獣医になって関東で勤務医をしていましたが、

岐阜県で診察して驚いたのがフィラリア感染している子の多さです。

蚊が伝染するので、近くに陽性の子がいればかかるリスクはあがります。

 

・フィラリアは夏場だけ飲んでいればいい?

蚊って秋遅くまでしぶといですよね。

蚊が出てから1ヶ月後(5月)、いなくなってから1ヶ月後(12月)まで飲むのがポイントです。

 

・うちは猫しかいないから関係ないですよね?

室内猫でも10頭に1頭の感染があります。

びっくりするくらいに高いですね。

ただし猫は、成虫までフィラリアが成長しなかったり、寄生する数が少なく、

あまり症状が出ない事が多いです。

猫では、突然死の原因になるといわれています。

 

・室内にしかいないから大丈夫!

私は室内で寝ていると蚊にさされます。

蚊を絶対に室内いれない!というのであれば予防はいりませんが、

ちょっと現実的には厳しい気がします。

 

・感染しちゃったんだけど治療できますか?

フィラリアに感染したとき、選択する治療は大きく分けて3つです。

①手術で取り除く

長い鉗子を使ってつまみ出します。麻酔の危険も、費用も高くなります。

②お薬で対処する

メラルソミンという成虫を駆虫するお薬があります。

ただし駆虫した成虫は心臓から流れて肺に必ず詰まります。

そのときに呼吸困難などを起す危険性があり、リスクの高い治療です。

③フィラリアの寿命をまつ

フィラリアの寿命は数年(長いと7年程度)です。

その間に心不全、肺高血圧などが進む可能性があります。

 

獣医としてはどれもできればやりたくない治療です。

予防で済めばそうしたい病気です。

 

いかがだったでしょうか。

全部知っていたという方は、かなりの達人です。

新人獣医さんより詳しいかも。

 

フィラリアは予防できる病気です。

フィラリア感染の不幸なわんちゃんが1頭でも減りますように。

 

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岐阜市柳津町丸野4−17−1  はづき動物病院

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