2.12019
先日お休みを頂き、大阪で開催された『獣医がん学会』に出席してきました。
昨年も大阪で開催されました。
大阪と言えば、道頓堀、大阪城、通天閣、USJなど面白そうなところが満載です。
しかし、今年も観光名所はスルーです…
唯一の観光といえば、数秒だけ見切れた大阪城です。
たぶん大阪城です。
初寿司の店舗ではないと思います。(岐阜の人以外は分かりにくくてすいません)
さて、一応「観光」も済ませたという事で、学会に行って参ります。
今回のテーマは『肥満細胞腫』でした。
肥満細胞腫とはなんだ!?と言う方はこちらを⇩
簡単にいえば、アレルギーなんかに出てくる細胞が、腫瘍化した悪性腫瘍です。
わんちゃん、猫ちゃんに非常に多いです。
そして厄介です。
何がやっかいかと言うと、悪性度が高いものは転移するし、
手術も大掛かりになりがちです。
二人とも肥満細胞腫で、大掛かりな手術になった子です↓
肥満細胞腫は研究が進みやすい分野です。
ここ5年くらいで大きく治療が変化しました。
手術や、放射線療法にも進歩がありますが、
最も進歩が大きいのは化学療法、いわゆる抗癌剤です。
抗癌剤というと人で髪の毛が抜けたりするタイプの抗癌剤がイメージされます。
もちろんそのタイプの抗癌剤も使われますし、重要です。
ただ、流れが変わってきています。
今の研究の多くに「分子標的薬(パラディア)」が使われています。
聞き慣れない言葉ですが、分子標的薬というお薬があります。
今までの抗癌剤が、ターゲットは分裂する細胞全部です。
腫瘍細胞は分裂するのでよく効きます。
ただし他の骨髄や消化管も分裂が盛んですので、そちらにも効きます。
これが副作用として出ます。
人ほどの副作用は出ない事が多いですが、気をつけなければいけません。
分子標的薬は、肥満細胞腫の特定の部位をターゲットにします。
そういわれると分かりにくいですね。
イメージは、肥満細胞腫に書いてある名札のようなものです。
そこを狙って攻撃します。
ですので、従来の抗癌剤とは全く別物で、
強い副作用が少ない事が特徴です。
もちろん、副作用がでない訳ではないので使い方には注意が必要です。
話をきいていると、肥満細胞腫にかかってしまった子には、夢のような薬です。
しかし、今まで当院での登場頻度が少なめでした。
それは、「効くか効かないかの検査(c-kit遺伝子変異検査)」で
『効かない』とでる事が多かったからです。
効かない可能性が高いといわれれば、別の治療を優先します。
しかしここ1−2年の研究で、「効く」とでた子は効く可能性が高いが、
「効かない」とでた子が結構な割合で効くという事です。
以前から、いわれてはいましたが、実際にデータをみると、衝撃的な内容です。
これで肥満細胞腫に苦しむ子の治療がまた進んだと思うと、非常にうれしく思います。
新しい知識は常に必要です。
肥満細胞腫で苦しむ子を助けるにはそれしかないのです。
肥満細胞腫の治療に困ったら早めにご相談くださいね。
追伸
大阪の串カツは、ソース二度つけ禁止でした。
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