8.232018
猫ちゃんは胸の中にリンパ腫ができる事があります。
縦隔型リンパ腫といいます。
呼吸が苦しくなったり食欲がなかったりします。
しかもかわいそうな事に、まだ若い2−3歳の猫ちゃんがかかります。
「なぜそんな若いのに…」と思われるでしょうが、実はほとんどの場合、猫白血病に感染が原因になっています。
猫白血病は感染している猫ちゃん同士で伝染します。
感染すると猫ちゃんの遺伝子の中に潜り込み、腫瘍化させたりします。
その一番の代表がリンパ腫です。
今は室内の猫ちゃんは15歳くらいまで生きてくれますが、
お外にいる野良ちゃんなんかは平均4−5歳くらいともいわれています。
その差は…事故などもありますが白血病とエイズの感染が大きいです。
今回は白血病に感染して、リンパ腫になってしまった猫ちゃんの話です。
この子はもともと野良の子猫ちゃんでした。
飼い主さんにであって保護されました。
ちょっと人見知りはしますが、おとなしいいい子です。
しかし最近ご飯の食べが悪いのと、呼吸が早いという事でいらっしゃいました。
猫ちゃんの呼吸が速いというのは、獣医師側もかなり気をつける症状です。
急激に悪化する可能性があるからです。
いろいろな原因が考えられます。
できるだけ早く、ストレスをかけないように検査を進めていきます。
胸のレントゲンをとって見ると、
これは苦しいはずです。
胸の前の方が真っ白で胸水も溜まっています。
これはきっと…と思い胸の塊の細胞診をします。
胸に刺すのは注射用の細い針なので、大きなリスクなく検査できます。
顕微鏡をのぞいて見ると
腫瘍化したリンパ球だらけです。
縦隔型リンパ腫です。
確認のため白血病のウィルス検査をすると、やはり白血病に感染があります。
まだ2歳なのに悪性リンパ腫です。
どうにか楽に呼吸させてあげたい。
そんな思いで飼い主さんに、病気名と原因、症状をお伝えします。
そして治療方法です。
治療の選択肢は
①ステロイドで症状を少し和らげる+自宅で酸素室で安静にしてもらう。
②抗癌剤をつかってリンパ腫と戦う
の2つです。
飼い主さんは、若いのでもっと頑張って欲しいという事で、②の抗癌剤を選ばれました。
抗癌剤は辛いですかとよく聞かれます。
その時は「副作用は、出る子もいれば全く出ない子もいます。
一番リンパ腫の子で辛くないのが抗癌剤がきいて、体からリンパ腫がなくなった時です」
とお答えしています。
さてこの子は全く副作用もなく順調にプロトコールが進みました。
3回目の抗癌剤で腫瘍がレントゲンで確認できなくなりました。
完全寛解です。
レントゲンで肺が空気を含んで黒くなっているのがわかります。
食欲も、呼吸も元通りです。
治療していて一番うれしい瞬間です。
このいい状態をできるだけ長く維持できるように、継続治療が必要です。
腫瘍をもつ猫ちゃんと飼い主さんにとっては1日1日が大切です。
そんな日々のお手伝いをするのが、腫瘍科の獣医の使命と思います。
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