1.112018
今まで中耳炎になった事はあるでしょうか?
知り合いの獣医さんは海に行った後に中耳炎になりました。
それはもう、痛みで悶絶していました。
あまりの痛さに、「ただ事ではない」と自分でMRIを撮っていました。
MRIでは大した事はなかったのですが、それほど耳の炎症は痛いのです。
わんちゃんでCTやMRIを撮ると中耳炎を起している事があります。
「いったいなぜ我慢できるのだろう」というくらいひどい事も多々あります。
今回は外耳炎がひどすぎて、痛くて痛くてというアメリカンコッカーの子です。
この子は何年も前から、外耳炎を起していました。
耳の掃除をしたり、お薬を飲んだりしていましたどんどん悪化していきます。
アメリカンコッカーの慢性の外耳炎は治療してもどうにも止められない事があります。
この子もその一人でした。
お耳の掃除も痛いので怒りますし、耳が痛くて痒くてしょうがないようです。
慢性の外耳炎では、耳が肥厚して耳道が塞がってしまいます。
塞がると中で膿みが溜まりどんどん悪循環になっていきます。
そしてとうとう首を傾げるようになってきました。
これは、外耳の炎症が中の方まで進み、中耳炎を起している時の症状です。
内科治療では限界を迎えたため、耳道を切除することにしました。
耳をとるというと、すごくかわいそうな気がしますが、
耳介(外から見える耳)は残りますので、見た目の変化はほとんどありません。
耳が聞こえなくなる事を心配されますが、多くのケースでは手術前から聞こえていません。
わんちゃんにとっては、長年ずっと痛かった耳から開放されます。
最終手段ではありますが、わんちゃんにとてはこれが一番幸せなんじゃないかと思います。
さて、手術ですがなかなか大変です。
耳の周りには大事な神経や太い血管があるのでそれを傷つけないように慎重に手術します。
特に、耳のすぐ近くの顔面神経を傷つけると、瞬きができなくなったりします。
カチコチになった耳道をゆっくり剥がしていきます。
顔面神経を確認して傷つけないようによけておきます。
耳道の付け根の所まで外せました。
この子は中耳炎も起しているので、穴をあけて鼓膜の奥をしっかり洗浄していきます。
粘膜が残っていると、手術後に膿むので時間をかけてしっかり粘膜も剥がします。
やっときれいになりました。
あとは液がたまらないようにドレーンチューブをいれて、
丁寧に縫合して終了です。
顔面神経も無事に機能しているようです。
ちょっと大変な(患者さんにとっても、獣医にとっても)手術ですが、
今後この子が気持ちよく生涯を過ごしてくれると思うと、
疲れも吹き飛びます。
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