11.82017
わんちゃんの病気は突然やってくる事があります。
1ヶ月前までは走り回っていたのに…ということも少なくありません。
「リンパ腫」と言う病気も数週間の間に急に進行する事があります。
なんか具合が悪そう、と思って病院につれていくと
「多中心型リンパ腫です」と突然診断される…
パニックの中でも、飼い主さんが最低限知っておかなければいけない事があります。
・リンパ腫とは血液のがんです。
血液の中には、酸素を運ぶ赤血球や体を守る免疫の白血球などが流れています。
その白血球の1種類のリンパ球が腫瘍になったのがリンパ腫です。
普段は感染から体を守り、免疫のリーダーになっているのですが腫瘍化すると厄介です。
リンパ球は普段リンパ節などで出番を待っているので、腫瘍化すると全身のリンパ節が腫れます。
犬の体の表面リンパ節は、顎の下、首の下、脇の下、膝の後ろなどにあります。
全身のリンパ節のしこりが気になる、となると多中心型リンパ腫の疑いがあります。
リンパ腫はできる場所により、消化器型、縦隔型、腎臓型などがありますが、
体の表面のリンパ節がメインに腫れるのが多中心型です。
・リンパ腫に良性はない
リンパ腫はすべて悪性の腫瘍で、良性はありません。
しかし中には「高分化型リンパ腫で良性の挙動です」と動物病院で説明を受けて混乱されている飼い主様もいます。
リンパ腫には低分化型と高分化型があり、低分化型はすごく早く進行します。
高分化型はゆっくり進行する事が多く,治療せず様子をみることもありますが、どちらも悪性の腫瘍です。
・何も治療しなければ1ヶ月程度
多中心型リンパ腫で治療しないと、多くの子は1ヶ月程度でなくなります。
ステロイドを使うと症状は楽になる事がありますが、余命は伸ばせません。
・治療の選択肢は抗癌剤を使うか、使わないかのほぼ2択
リンパ腫は血液の腫瘍です。
1カ所に腫瘍がとどまっている事はあまりありません。
多中心型(体の表面のリンパ節が多数腫れるタイプ)では多数のリンパ節に腫瘍細胞が存在するため、
手術や放射線のように、治療した部位にしか効かない治療法は使えません。
ただし、鼻腔型などは例外です。
・抗癌剤を使うと1年程度
抗癌剤で治療すると1年程度の生存期間です。
一般的に抗癌剤は最初は1週に1回、3ヶ月目からに2週に1回にして5−6ヶ月続けます。
・リンパ腫は完治できない…と言われているが実際は
リンパ腫は自然に治る事はありません。
残念ながらリンパ腫と診断して無治療やサプリメントで奇跡が起きた経験はありません。
抗癌剤で治療すると平均的に1年程度です。
ただし、20%の子が2年以上元気に過ごしますし、5年たっても再発しなかった子もいます。
完治はできないといわれてますが、少数の子では寿命を全する子がいます。
抗癌剤治療を延命と捉えるか、元気に過ごせる可能性にかけて治療するかは
飼い主様の考え方によるところが大きいです。
・抗癌剤は思ったより副作用が軽い事が多い
抗癌剤のイメージは、人間で毛が全て抜け落ちて、吐き気に苦しむというものです。
動物の抗癌剤治療は、一般的にそこまでの副作用がでない事が多いです。
抗癌剤治療を受けていて、あまりに副作用がないので効いているかが不安と言われた事もあります。
ただし、副作用が出る子もいますので一概にはいえませんが、
副作用が原因で抗癌剤を止めたいと言われる方は20−30人に1人くらいでしょうか。
・サプリメントはあくまでサプリメント
できるだけ自分のわんちゃんに負担をかけたくない、という思いは当然です。
そうするとサプリメントや漢方などで治療をされる方がいます。
効果のほどは…今の所実感した症例には出会っていません。
・抗癌剤をうけるなら信頼できる先生に
抗癌剤で「副作用」を出さない方法は実はすごく簡単です。
お薬の投与量を減らせば副作用はほとんどでません。
投与量は治療している獣医師にしかわからないため、十分な効果がでない投与量で治療している事が結構あります。
投与量を2割減らすと、効果は半分になるといわれています。
十分な経験としっかりとしたお薬を投与できる獣医師のもとで治療を受けてください。
治療方法によって寛解率(腫瘍がみえなくなる割合)、生存期間が大きく違う事があります。
治療が上手な先生は副作用にうまく対処でき、ぎりぎりの量を投与できる先生をいいます。
・迷ったら他の先生の意見も聞く
担当する獣医師により、リンパ腫の治療に対する意見は様々です。
大切なわんちゃんのために納得できる決断をしてください。
セカンドオピニオンは担当の先生に失礼な事ではありません。
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岐阜県岐阜市柳津町4−17−1 はづき動物病院
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